「あいにくこちらの店舗には在庫がなく…キャナルシティ店にだったらあるのですが…。」
店員さんが申し訳なさそうに告げる。キャナルかぁ…さっき七隈線で通り過ぎてきたところだよ。いや、博多駅にいるんだからひと駅戻ったらいいだけの話ではあるのだが。
ひやむぎは今、先日落っことしてバキバキになったスマホの画面を修理に出すべくiCracked Storeのハンズ博多店に来ている。ハンズの2階にあるスマホ用品売場の隣にカウンターを構えているものの、あまり大きくはないため在庫数が限られるようだ。
今からまたキャナルに戻るのかぁ…。隣の駅だからそんなに時間がかかるわけじゃないけどちょっと面倒くさくなってきた。だからといってこのバッキバキになったスマホを使い続けるのも嫌だ。割れたところに表示された文字は読みにくいし、あと使い続けるうちに液晶のガラスが剥がれてきて指先を怪我しそうだとも思った。
キャナル戻るかぁ…。渋々そちらに歩みを進めたのでした。
タイミングの良し悪しってありますよね。ここ最近はタイミングの「良い」が続いていたんです。
回転寿司に行ったらすんなりと案内されたのに、僕らの直後から混み始めたり。
愛車を洗車場に持っていき拭き上げ作業に取り掛かるとき、最後の空きスペースに滑り込めたり。
猛烈な雨が降り始めたけどギリギリのところで家に帰りつけたり。
だけど今日に限っては絶妙に何もかもが噛み合わない。
地下鉄に乗ってから忘れ物に気がついて隣の駅で降りることになった。
博多駅に行ったのに結局キャナルシティに戻ることになった。
用事があるのはパルコだと思って向かったが本当は大丸だった。
誰かに迷惑をかけているわけではないから気にするほどでもないんだけど、ここまで連続で起こると少し嫌な気分にもなる。パルコから大丸に移動しているときに禊から「顔が怖い」と言われたから、きっと表情にはしっかりと出ていたんだと思う。
待ち時間すらも楽しめるようになりたい。少し予定が狂ったくらい笑い飛ばせるようになりたい。誰にも迷惑をかけないならなおさら。
そういえば最近心待ちにしていたことがあったんです。
その一つが星野源さんの著書『いのちの車窓から』の続編が発売されたこと。大学生の頃からずっと大好きなアーティストだったけど、最近はその音楽性というか曲の方向性というか、そういったものが変わった気がしてあまり楽曲を聴かなくなっていました。
「音楽と同じように、文章まで今までの源さんと変わってしまっていたらどうしよう…」
そんな不安もありながら読み始めたものの、文体やテンションは源さんのまま。2012年に初めて観たMVの「夢の外へ」で踊る、元気で楽しそうでちょっとかわいい源さん。あまり飾らず、奇をてらわず、素朴な源さんのまま。半分ほど読み進めましたがやっぱり面白いです。
もう一つが、小林青葉くんたちと作った禊の誕生日サプライズムービー。撮影から2ヶ月近く経っちゃいましたが、彼らが家に遊びに来てくれたのでようやく禊にお披露目ができたんです。
「いざ撮影スポットについたらイノシシの家族に遭遇してさぁ〜、流石に怖くて場所変えてたらめっちゃ時間かかったんよ〜」なんて、今までひた隠しにしてきた撮影裏話なんかも織り交ぜながら。
ドクターXのオープニング風に始まり、そこからは僕が結婚式用に撮った懐かしの禊との映像やフリップに書いた禊へのメッセージ。実質初めての「自分のためだけに作られた動画」に涙を浮かべ、照れ隠しでTシャツを頭のてっぺんまで引っ張り上げ隠れる禊。2ヶ月越しのサプライズ大成功でした。
「このバスで動画作りたいんよね」と話すと色んな角度からアイデアや気付きをくれる小林くん。もうすぐ30代に本格的に足を突っ込むおじさん予備軍なひやむぎとひと回りも年が離れているのにとてもしっかりしていて、企画力があって、17歳とは思えないほどの気遣いもできるバイト戦士。
彼を見て、18歳の頃の自分を振り返っては「あぁ、なんと無為な日々を送ってしまったことか」と思います。仮にあの頃の自分にバスの貸切会なんてさせようものなら、後先考えぬ経路設定の末に迷いに迷い、お願いするバス会社にことごとく門前払いを喰らっていることでしょう。
あんた、すごいよ。
ありがとう、小林くん。
ありがとう、撮影に協力してくれたみんな。
2ヶ月待った甲斐があったというもんだよ。
タイミングが噛み合わなくて荒んだひやむぎも、また頑張れそうだよ。そして遊びに来てくれて、次回動画も撮影協力をしてくれるとのこと。今から楽しみです。
これからも、よろしくね。
タイミングって大事です。きれいに噛み合えばなにかのカラクリのようにスムーズに動きます。だけどそれが外れてしまえば全部がダメに。きっと今は外れた状態。歯車が戻るまでどれくらいかかるのか。画策は続きます。
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