文法とイディオムの話!
歌詞は前後の韻律とリズムとを絶妙なバランスで組む芸術だと思っています。言葉を精巧に織り交ぜることで心に響く歌詞になるんです。(歌詞書いたことはないけど。)
短く、口調をそろえて、強い言葉で和訳するのがひやむぎ的なコツかと。
今回のストーリーを決定づけるきっかけになった箇所を3つ解説します!
・walk (a mile) in ~’s shoe:~と同じ体験をする
「あんたの望み通りにはならないぞ」と言う歌詞で、誰かの期待に反する行動に出るという想像がつきます。そのネガティブな情景での表現、そして直前にある”put under the pressure of”で主人公が何を恐れているかが分かります。
同じような経験をする、比較の対象が親であるならそれは「親と同じ体験、同じような人生」ということ。
親は自分の歩んできた道が最善だと思っている、だから子にもそうさせようとする。だけれど子には子なりの考えや生き方、時代があってそこでギャップが生まれるんです。
だからあえてここは命令形で意訳しています。「あんたの人生を歩かせようとしないでくれ」と。
・サビでは時制の対象が素敵!
時制。つまり現在なのか過去なのか、未来なのかの違い。英語では現在完了や未来形などが日本語に比べてくっきりと現れます。中学校で習いましたよね。
その対比をストーリーに落とし込むと主人公の決意がにじんでくるんです。
ここでおさらい、現在完了形
中学英語なんて忘れちゃったよ~という方のために文法のおさらいをしておきましょう。
現在完了形とは「今まで~という状態が継続している」ということを表現します。①完了、②継続、③経験という3兄弟、出てきましたよね?
今回は②の「もう~になってしまった」という状態だと思います。何度も何度も親から指示され、うんざりして、もう考える気も失せて呆然としている様子。訳に直接的な完了形の意味は出していませんが…。
サビの前半は「もううんざりだ、投げ出したい」という半ば諦めのようなニュアンス。
それに対して後半、”I’m becoming”と現在進行形に形が変化しています。つまり未来を表しているのです。
現在進行形は「~している」と習った方が多いと思いますが、実は2つの意味があります。
①瞬間的にしている動作(例:I’m studying.)
②決定的に起こる事柄(例:She is coming tomorrow.)
ほぼ確定している事柄にも現在進行形は使えます。ここでは意思ととらえてもいいかもしれません。なので訳は「なってやる!」としました。
・歌詞には省略がつきもの!
先ほどの”I’m becoming”に続く部分ですが、この文章には少し違和感があります。
do, is, be…?
こんなの習ってない…という方はご安心を。こんなの学校じゃ出てきません。ほとんど。
beの直前にはtoが隠れています。これは歌詞や詩によくある省略です。だから教科書的な文章に直すとこんな感じ。
All I want to do is to be more like me and to be less like you.
「もっと自分らしく、もっとあんたらしくなくなるのがやりたいことだよ。」
主人公の親に対する強い気持ちが表れている一文ですね。
まとめ!
この曲、木曜日に教えてもらったんですけれどね。それで書いている今が土曜日の朝なんですが、ことあるごとに思い出すし和訳してる間に50回くらい聞きなおしたんですよ。
ここまで1曲を聞き続けたのは久しぶりです。でもやっぱり和訳って好きだな。
”numb”が思春期の葛藤を思わせる内容でしたが、そのためもあってかとても力強い歌声でした。心の底にヘドロのように溜まった何かを吐き出すような、鬱屈とした闇をさらけ出すような、魂のこもった歌でした。
And every second I waste is more than I can take
もう取り返せないんだ、無駄にしちまった時間は
ここの歌詞、27歳になったひやむぎにはとても響きました。いえ、親に大事な時間を奪われていたような覚えはあまりありませんが。この箇所だけで解釈すればすごく心が痛い。「あぁ、今までの無為に過ごしてしまった時間は…」と。意味合いが変わってしまいましたが笑
まだまだ教えてもらった曲があるので、次回はそちらもやってみたいと思います!
以上、ひやむぎでした!
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